妙蓮寺で生まれた人気エッセイ〈妙蓮寺 安達 茉莉子〉(前編)

つくり手ケのまち

今回は、作家・文筆家の安達茉莉子さんにお話を伺いました!

三輪舎代表 中岡 祐介さんとの対談形式でお届けします。

プロフィール

名前
安達茉莉子(あだち まりこ)
職業
作家・文筆家
経歴
大分県出身。東京外国語大学英語専攻卒業、サセックス大学開発学研究所開発学修士課程修了。著書に『毛布 – あなたをくるんでくれるもの』(玄光社)、『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE』(三輪舎)、『臆病者の自転車生活』(亜紀書房)、『世界に放りこまれた』(twililight)ほか。

プロフィール

名前
中岡祐介(なかおかゆうすけ)
職業
編集者
経歴
1982年、茨城県出身、横浜市港北区在住。編集者。株式会社三輪舎・代表取締役。株式会社石堂書店・代表代行、本屋・生活綴方を監修。

それでは毎回恒例の「関係のない質問」からどうぞ!

コンビニでよく買うもの
むくみ解消のためにキレートレモンMUKUMI 、スーパーカップのバニラ味
好きなYouTube
K-POPのNEXZが出ているものは、全て見てます!
よく行くお店
KANATA CAFE
17歳に戻れたら
ハメを外してもっと遊べ!笑
100時間あったら
寝る
1億円あったら
一軒家を建てる、ドッグラン、ガーデン、森を作る
最後に泣いたのは
原稿を書きながら泣いてしまうので結構最近です
人生最大の買い物
金額で考えると諸々の引越し、あとは去年の中国旅行、カメラ、自転車、iPadなど(人生を変えてくれるのは大体10万円くらいのものが多い)
人生最大の無駄遣い
免許を失効したこと
生まれ変わったら
男性のK-POPアイドル(笑)「実は読書が好き」という設定で、本の良さを布教したい

妙蓮寺と本屋・生活綴方との出会い

中岡さん:

安達さんは、2020年の12月に綴方で展示をやったんですよね。

新しい本が出ますよ、っていうお知らせを出版社から頂いて、僕は直接お会いしたことはなかったけど、安達さんの作品が、本屋・生活綴方にぴったり合うなという気がして。

もうこれは本当に直感だったんですけど。

それで安達さんに
「本の展示をやりませんか?」とお伝えしたところ、開催することになったんですよね。

安達さん:

そうです。それで初めて妙蓮寺に来て、もうなんというか、駅を降りた瞬間にすごく気に入って。

その時たしか打ち合わせに遅刻していたんですけど、急がなきゃいけないのに、駅前の不動産広告を思わず見てしまいましたね(笑)

中岡さん:

その時から引越しっていうのは常に頭にあったんですか?

安達さん:

ありました。それまで中野に10年以上住んでいたんですけど、コロナの影響で兼業でやっていた勤め先が急に解散になっちゃって。

千葉に住んでいる妹夫婦が「家のひと部屋が空いてる」と言ってくれて、半年ぐらい居候しました。

妹は「別にいつまでもいてくれてもいいけど、お姉ちゃんのためにも、1人暮らしの場所を探した方がいいんじゃない?」と言われて。

確かにそうだなぁと感じていた時期でした。

中岡さん:

この街はどういう印象でしたか?

安達さん:

電車を降りて、駅のお寺さん側出口に出たんですけど、1番最初に思ったのは、空が広いなって。

線路を渡って商店街に行くと、個人のお店がいっぱいあるのも印象的でした。

中岡さん:

パン屋と電気屋と本屋二軒っていうね(笑)

安達さん:

あと、歩いてる人たちの顔が明るいなと思ったんですよね。

すごく楽しそうに歩いてて。ここはいい場所だなと思いました。

中岡さん:

本屋・生活綴方の印象はどうでした?

作家さんに来てもらう時に、こんな街と本屋が扉なしで繋がってる、あばら家みたいなところで大丈夫かなって、いつも思うんですよね(笑)

安達さん:

でもレトロでかわいいですよね。
私は古民家やリノベーション物件も好きなんです。

あと正直、妙蓮寺という駅を知らなかったので、ちょっとワンダーランド感もありましたね。

中岡さん:

僕ね、妙蓮寺に引越してくる前の安達茉莉子と、今の安達茉莉子は全然違うよっていろんな人に言っているんですよ。

ここに来たばかりの時は、話をしていても『すみません、すみません、ごめんなさい』って、なんかよくわかんないことを謝られる感じがあって。

だけど、今の安達さんは本当に明るくてポジティブだし、自分の作品に対して、プライドを持っているよね。

もちろんプライドは前からあったとは思うけど、あの頃は『こんな私でいいんですか?』みたいなところが見え隠れしていたと思うな。

安達さん:

それは本当にありましたね。

手づくりのZINE『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE』

中岡さん:

それから、せっかく妙蓮寺に来たんだから、リソグラフを使ってフリーペーパーや、ブックカバー裏のエッセイとかを一緒に作ろうとなりましたよね。

でも安達さんから頂いた文章が、しっかりした長さで、しかもすごく良くて。

この文章を売り物にしようと作ったのが『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE』です。

それを持って文学フリマに持っていったら、すごい大反響で。

安達さん:

あの頃は緊急事態宣言が出てる頃だったので、そもそも開催されたこと自体奇跡的だったんですよね。

今の文学フリマのぎゅうぎゅうで歩けない状況とは違って、泣いちゃうぐらい閑散としていて…

でもそんな中で、『私の生活改善運動のZINEが出来ました』というお知らせを見て、来てくださった方がいて、それにすごく励まされたんです。

中岡さん:

あのZINE、実は当日の朝に完成したんですよね。極限状況だったね(笑)

安達さん:

当時の私は絵を描いている人という認識が強くて、文章を書いてるっていうイメージをあまり持たれてなかったんですよね

出版社に持ち込みとかもしてなかったし、文章を知ってもらうきっかけになったのが『私の生活改善運動』のZINEでした。

妙蓮寺だからこそ生まれたエッセイ

中岡さん:

ずっと聞いてみたかったんですけど、もし引越し先が妙蓮寺ではなくて、例えば吉祥寺だったら『私の生活改善運動』は出来ていたのかな?

安達さん:

妙蓮寺に引っ越す前も文章は書いていたし、個展会場で発表はしていました。

でも自分の中にエッセイ集を作るという選択肢はなぜか無かったので、出来たとしても別の形になってたと思います。

中岡さん:

あの時は『文筆家』とは名乗ってなかったよね。

安達さん:

私は文章も絵も詩も全部やるので、なんて名乗っていいかわからず、『作家』と名乗っていましたね。

しっくりくるのはアーティストで、作家と書いてアーティストと読むというか。

自分がどういう人なのか自分でもよくわかっていなかったし、わからないまま、とりあえずこれで行こうという時期でもありました。

妙蓮寺に引っ越してきて、中岡さんと出会い、文章をZINEの形で発表するようになって、私の文芸部分が引き出されたと思います。

中岡さん:

それは僕にとっても光栄なことだったし、すごく素晴らしい出会いだったなって思います。

でもあの時、「私文章を書きたいんです。こっちでやっていきたいんです!」という感じのことを言っていたんだよね。

本屋の2階のベランダで、そんな話をした記憶があるんです。

安達さん:

そうでしたっけ?でも、妙蓮寺で中岡さんや、綴方の皆さんに出会えたから今の文章がある、というのは本当に感じています。

後編に続く

後編は安達さんが思う妙蓮寺の魅力などをお話ししてくれました。お楽しみに〜

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この記事を書いた人

酒井洋輔

酒井洋輔

編集長
くらしとすまいの松栄三代目。妙蓮寺生まれ・妙蓮寺育ち(悪そうな人は友達ではない)農業を参考に、不動産と建築、街づくりが循環し、持続可能な形で成長するビジネスモデルを探求中。

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