今回は、
「株式会社 三輪舎」代表取締役「中岡 祐介」さんです。
プロフィール
中岡祐介
1982年生まれ。 大学卒業後、TSUTAYAなどを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以降「CCC」)に入社。 7年に渡る会社員経験を経て、2014年に株式会社三輪舎を創業。 起ち上げと監修を行った本屋・生活綴方では、書籍の企画・編集から印刷・製本・販売まで、全ての工程を行っている。
酒井:
今回はプロの編集者にインタビュー、緊張しました
それでは毎回恒例の「関係のない質問」からどうぞ!
- 足のサイズ
- 25.5cm
- 好きな作品
- 太陽にほえろ!
- 好きなYou Tube
- 柴犬の動画をひたすら見てます
- コンビニでよく買うもの
- シュークリーム
- ポテチの好きな味
- のり塩
- 息抜きの場所は?
- 本屋の畑 一人になれるから
- 人生最大の買い物
- 本
- 100時間あったら?
- 預かっている原稿をとにかく本にする
- 1億円あったら?
- 1000万円残して寄付する
- 生まれ変わったら?
- 生まれかわりはあり得ないかなぁ
- この辺りでよく行くのは?
- 菊名池公園
会話つまみ食い
引っ込み思案の少年時代~ 本との出会い
酒井:
まずは生まれはどこですか?小さい頃はどんな少年でしたか?
中岡さん:
茨城県のひたちなか市出身です。
小さい頃はとても引っ込み思案で、いつも公園で1人で遊んでいて、自分で蹴ったボールを自分で取りに行くタイプの少年でしたね。
1人でいる方が好きだったので……
中岡さん:
その時は、ファミコンがしたくてしょうがなかったんですけど、男3兄弟の3番目なので、横で見ているしかなかったんです。
でも一緒にやらせてもらえず、とても腹がたったから、ある日お兄ちゃんたちがラスボスと戦っている時に、机の上からジャンプしてファミコンに衝撃を与えてやったんです。
当時って、ドラクエとかは教会に行かないとセーブ(保存)出来ないじゃないですか。
だからセーブしてないタイミングを狙って、バグらせてやったんです(笑)
酒井:
うわぁ〜〜(笑)その後はボコボコに?
中岡さん:
確か、そうされたと思います。そんな少年でした(笑)
酒井:
中学は何部だったんですか?
中岡さん:
卓球部でしたね。
同じ学年だけでも30人もいたので、基本”壁打ち”でした。小学校はブラスバンド部所属だったので、肺活量を増やすために腹筋はやってて。
それで中学の卓球部は台使わせてくれないから、ずっと腹筋とか腕立てとかやってました。
それで高校は山岳部に入ったんですが、山岳部も腹筋やるんです。
振り返ると腹筋漬けの学生時代でしたね……
今はもう割れてないけど(笑)
中岡さん:
本との出会いは、山岳部時代に長野とか山梨の山に行くことが多かったから、茨城からだと、とにかく電車に乗っている時間が長くて長くて……
それで、その電車の中で本を読み始めて、本の面白さに気づいたんです。
それからは道中の電車はもちろん、山登りのテントの中でも読んでいたし、いつも登山リュックに文庫本を入れてましたね。
よく覚えているのが、夏に長野の山で合宿があって帰る途中、昼過ぎくらいに神田駅で乗り換えた事があって
「あ、神田って、あの本の街の『神田』だ」
と思って、本の聖地に降り立ったんです。
当時はお金がなくて、結局本は買えなかったけれど、「すげぇ、すげぇ」って夢中になって、今思うと、
本の世界の入口は、間違いなくそこだったなって。
本と映画の世界へ
酒井:
高校の山岳部で本に興味を持って、大学はどちらに?
中岡さん:
古代ローマ史が好きで、歴史の勉強をしたかったんですが、物理が苦手だったので、得意な教科だけで入れる国立大学が、東京学芸大学だったんです。
中岡さん:
学芸大って、半分は教員養成の役割なんですけど、もう半分は哲学・文学・歴史学など、社会教育に関わる文学部的なところがあって、そこに古代ローマ史を研究している先生もいたので、行こうと思いました。
酒井:
それで大学時代も山岳部へ?
中岡さん:
いえ、高校の山岳部は競技登山だったんですよ。いかに早く登れるかっていう、今で言うところの『トレラン』だったんですよ。
酒井:
ええ!!それキツくないですか!?
中岡さん:
同じ山を1日に3往復もして、もう信じられないくらいキツいですよ(笑)
普通の部活は、卒業アルバム用にカメラマンが来て撮影とかしてくれるじゃないですか。
山岳部はインターハイも出て、他の部活より活躍してるのに、誰も取材に来てくれなかったんです(笑)
そもそもカメラマンが取材に来るだけでも大変だし、絵にならないでしょうから。
中岡さん:
だから大学は山岳部に入らず、学園祭実行委員会に入りました。
学芸大学には入ったけれど、そもそも教員になるつもりはないから、ずっと映画館でバイトしてましたね。
映画がすごい好きだったから、バイト先の映画館でチケットもらったり、ビデオとかで年間300本近く映画を見てました。
そのビデオレンタルでTSUTAYAをめっちゃ使ってたんです。
あとはバックパッカーをやったり、イタリアに語学留学行ったり……
酒井:
行ったことのある国は?
中岡さん:
イタリア、フランス、オーストリア、ハンガリー、クロアチア、ボスニア・ヘルツェコビナ、バングラディッシュ、アメリカ、インドとか。
インドは一番最近行った国です。
酒井:
そんな大学時代を過ごしたあとは?
中岡さん:
大学4年の時に付き合ってた彼女が、早く結婚したい人だったので、就職活動は一応したけれど、本当は映画関係の研究もしたかったし、留学もしたかったし、就職氷河期の最後の方でもあったから全然就活をやる気なくて……
そんな時にバングラディッシュに2~3週間行って戻ってきたら、彼女に別れようと言われて(笑)
映画批評の研究もやりたかったので、大学院に行きました。
酒井:
その後は何を?
中岡さん:
大学院に行ったあと就職活動をして、受かった2社のうちの1社であるCCCに入社しました。
本音は、就活の雰囲気が嫌いだったので、早く就活を辞めたかったんです(笑)
本屋の経験から自分の道へ
中岡さん:
CCCに入ったのは、映画配給をやりたかったからなんです。
酒井:
やりたい人が多い人気職種ですよね。
中岡さん:
そう、すごい人気のある職業。それか映画館の支配人もやりたくて……
CCCの社長面接の時に、その話をしたら
『映画館に空きあるから、こいつを配属してやれ』
という話になって、喜んでいたんですが、入ってみたら、『まずは本屋勤務』ということで、TSUTAYA TOKYO ROPPONGI(現在の六本木蔦屋書店)に配属されたんです。
酒井:
あそこにいたんですか!?カフェも併設してて、当時有名な場所ですよね
中岡さん:
はい、六本木の目立つ立地だったので、芸能人のお客様も多かったですね。
あと、あの辺りは外国人のお客さんも多いので、洋書も多かったんです。
自分でギャラリーを運営している人が、大量に洋書を買っていくようなお店で、10万円以上する本を含めて何冊も買って、会計が何十万みたいな世界でした。
幸運だったのは、社会人1年目で希望したアートの担当ができたり、幅 允孝さんのディレクションのやり方を近くで見れたりしたことですね。
配属されたのは1年間だったけど、あのお店で本屋の面白さに気づきました。
中岡さん:
本屋勤務に異動してからは、バイヤーやったり、スーパーバイザーをやったりと、TSUTAYAの王道コースを歩んで行ったんですけど、振り返ってみると自分はやっぱり会社員は合わないなぁ、とわかったんです。
自分は社会に適応できる、といい聞かせて7年半頑張ったんですが、やっぱり違った……
あと六本木のお店で書店員をしていたときに感じたのは、新しい本のうち、本当に面白いと思える本はごくごく一部だということ。
ロングセラーで売れ続けているものや、その当時生まれ始めていた小さい出版社のものはすごく面白かった。
もちろん、ぼく個人の感想に過ぎません。
iPadやKindleが出てきて、本屋としては先行きがわからない時代に突入していたから、業界的には「本を読まない人のせいだ」って言われていたんですが、僕は『それは違う』と感じていて。
本を作る人たちが、ちゃんと面白い本を出版したり、本屋が『本のディレクション』をちゃんとやってないからだ
って感じてたんです。
酒井:
CCCを辞めた後は、いきなり三輪舎を起ち上げられたんですか?
中岡さん:
はい、いきなり三輪舎でしたね。
でも会社を作ってから、著者に原稿を書いてもらっている間の時間があったから、新聞配達や青山ブックセンターのアルバイトもしていましたね。
僕にとって本屋が出発点だから、もう1度ちゃんと本屋を体験したら、考え方もリフレッシュされるかなと思って。
青山ブックセンターで売れる本を、自分も作りたいと思っていました。
酒井:
そもそも自分で出版社をやろうと思ったキッカケは何だったんですか?
中岡さん:
本を愛しているし、本屋も愛しています。
作り手が時間をかけて面白いものを作れば読者は増えるんだ、という考えがあったからですかね。
でも、そんなことを言う自分は面白い本をつくれるのかと自問自答したんです。
企画もやったことないし、先のことは何もわからなかったけど、なんとなく『そこそこ面白い本ができそうだ』っていう自信だけはありました。
~後編に続く~
酒井:
後編は、いよいよ三輪舎の創業後についてお話です!お楽しみに~
株式会社三輪舎
- 代表者
- 中岡 祐介
- 創業
- 2014年1月24日
- 事業内容
- 書籍の企画・編集・販売
- ウェブサイト
- http://3rinsha.co.jp
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