好きなことが仕事になる時代に〈TERA COFFEE and ROASTER 寺嶋 典孝〉(後編)

お店とケのまち

酒井:

前編では寺嶋さんのサラリーマン時代の貴重なお話など伺いました。後編もお楽しみください!

前編はこちらから

カエル誕生のヒミツ


テラコーヒーさんと言えば、カエルとコーヒー豆を組み合せたロゴが印象的です。

カエルのオリジナルキャラクターは、「セルジオ・マメンデス」という名前で、ブラジルからはるばるやってきた テラコーヒーの執事なんだとか。

酒井:

なんでカエルだったんですか?

テラさん:

サラリーマン時代の最後の方はデザインや企画関連の仕事で、 パッケージデザインや広告宣伝、それこそテレビCMを作成したりとかしていて。

そこで一緒に仕事していたデザイナーさんがいるんですけど、 その人に

『こんど会社辞めて、店出すからロゴ作ってよ』

ってお願いしたら、20種類くらい作ってくれて、、、 

あまりにも多いから『どれがいいの?』って聞いたら、『これ』って、指差したのがカエルのロゴだったんです

ロゴが入ったオリジナルグッズも人気

テラさん:

ロゴが決まったあと、デザイナーの後輩が、

僕がカエルの絵でも描きましょうか』 

って書いてくれたのがマメンデスなんです

セルジオ・マメンデス

テラさん:

コーヒー豆をモチーフにしたロゴって、世の中に溢れてるけど、マメンデスは可愛くて気に入っています

特別な一杯をとどけるために

豆は毎朝8時頃から、寺嶋さん自らも入って、全店舗で何十kgも焙煎しているそう。

焙煎は、毎日こまめに販売量に見合う分だけを、それぞれの豆の特徴に合わせて、時間や温度を細かく調整しながら色、香り、豆が“はぜる”音などを細かくチェックし、毎分記録をとって行う、気の抜けない作業なのだとか。

焙煎が終わった豆を待つのは「ハンドピック

異物や欠点豆が、ほんの少しでも紛れ込んでいると味に影響を及ぼしてしまうので、ひとつひとつ手作業で取り除く、地味だけれど大切な作業。

インタビュー中もずっとスタッフさんがハンドピックをしていました

寺嶋さんのお話を聞いていると、生産者から沢山の人の手を経て、様々な工程を経て、安全で高品質なコーヒーがお客様の元へ届けられているのを実感します。

危険と隣り合わせ、海外での買付け

テラさん:

お店を1人で切り盛りしているときは、海外に出向いて豆の買い付けに行けていました。今はあまり行けなくなってしまっていて…

パナマ、コスタリカ、エルサルバトル、エチオピア、アジア、ハワイなど、良質な豆を求め、世界各国の産地へ足を運びました。買い付けは直接農園にいきます。

中米に入ったときなんかは治安もよくないですし、向こうの人は普通に銃持ってるんで、本当に危ないんですよ。

夜ご飯食べに行く時も、歩いていける距離だけど、ガイドから

歩いていくな!必ずタクシーに乗れ!お前らみたいなの歩いてると本当にカモだから

って言われるんです(笑)

テラさん:

今後、また産地に仕入れに行きたいと思ってるので、そのためにはもうちょっとスタッフを増やして、自分の身の使い方を考えるときだなと感じています

YouTubeから学ぶこと

テラさん:

最近、YouTubeにはまってて、自分でもやろうかなって思ってるんですよね。

この辺(焙煎機の近く)に定点カメラ置いて、『今から〇〇産の豆、焙煎始めます』って(笑)

酒井:

それメッチャいいですね!(笑)

テラさん:

YouTubeを色々見ていると、時代が変わったんだなと気づかされます。

確実にネットとAIを活用する時代に変化してきている。

僕が最近思っているのは、『変わらないと生き残れない』ということ。

最強が生き残るのではなく変化するものが生き残る、、、時代の変化にのっていかないと、って強く感じてます。

酒井:

なるほど。そういう意味では、僕たちみたいな小さな会社の方が変化しやすいですよね。

テラさん:

そうですよね。
あとお互い『好きなことが仕事になっている』という感覚はありますよね。

昔は『好きなことは仕事にするな』みたいな風潮がありましたけど、これからは

好きなことを仕事にしないと

という時代になっていくと思うんです。

最初の話に戻ってしまいますけど、単純作業やルーチンワークは、ネットとAIに代替されていきますからね。

コーヒー屋で、日々感じること

酒井:

コーヒー屋さんをやっていてよかったな、と感じる瞬間は?

テラさん:

やっぱり、お客様に喜んでもらえたときですね。

そのために仕事やってるんだろうな、っていうのがあります。何事もお客様が喜んでくれればいいのかなって、、、

テラさん:

それに、ふふふ、、、 
基本、毎日幸せ』なんですよね、、、(笑)

こんな楽しいことして生きていけるんですから。

毎日自分の好きなコーヒーを焙煎して、それが仕事で、お客様にも喜んでもらって

本当に幸せなことです。

お話を聞いていた2時間は、あっという間、、、コーヒーと同じく、後味の良いインタビューでした!

編集後記

「友達が松本(長野県)に引っ越してお店やるって聞いて、僕も最近、松本が気になってきてるんだよね。

自分も最後は、小さい店でちまちまコーヒー淹れて、最後はそうやって終わりにしようかな。

嫌いな人がきたら、ガラガラって閉店しちゃってさ(笑)」

最後、こんなことをお茶目に話してくださったテラさん。

お話を伺う中で感じたことが、”お友達の多さ”でした。

きっと、コーヒーを丁寧に淹れるように、 ひとつひとつの出会を丁寧に大切にされているのだろうな、と感じました。

また、一方で”先を見据えた堅実な経営者”の顔も持ち合わせていました。
環境や時代の変化に、臨機応変に対応し続けているからこそ、どんな時でも美味しいコーヒーを提供できる。

変わり続けているからこそ
変わらない味を提供できる

そんなテラさんのコーヒーに、私たちは魅了されているんだなとも感じました。

TERA COFFEE 

白楽店
横浜市神奈川区白楽129番地
大倉山店
横浜市港北区大倉山1丁目3-20
妙蓮寺店
横浜市港北区菊名1-12-11
URL
http://teracoffee.jp/
insta
https://www.instagram.com/tera_coffee/

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この記事を書いた人

酒井洋輔

酒井洋輔

編集長
くらしとすまいの松栄三代目。妙蓮寺生まれ・妙蓮寺育ち。農業を参考に、不動産と建築、街づくりが循環し、持続可能な形で成長するビジネスモデルを探求中。

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