本と出会える小さなアジール『bookpond』(前編)

お店とケのまち

今回は、白楽にオープンした書店(+喫茶・喫酒)『bookpond』(ブックポンド)を営む、編集者の小池真幸さんにお話を伺ってきました。

インタビュアー:酒井 洋輔
(ケの日のこのまち編集長 くらしとすまいの松栄三代目)

場所はこちら

酒井:

まずは恒例の「関係のない質問」からどうぞ!

好きな音楽

いろいろ聴くが、心の師は小沢健二さん
好きなテレビ番組
テレビドラマ、特に坂元裕二さん脚本のドラマが好きです 『カルテット』『最高の離婚』など
自分へのご褒美は

ドラマを観ながら家でゆっくりお酒を飲むこと
コンビニでよく買うもの

納豆や卵
100時間あったら
行先を決めずに、ひたすら歩いてみる
最後に旅したのは

群馬県 赤城山(2025年9月時点)
人生最大の買い物

このお店
近所でよく行くお店
「254BeeR」「BAR LADDIE」「Tweed Books」など 白楽に好きなお店はたくさんあります!
弱点は

弱点しかありません(笑)
生まれ変わったら

港町の子どもとして育ってみたい

編集者が営むブックカフェ


bookpondは2025年7月にオープンした“書店(など)”をかかげる書店(+喫茶・喫酒)。店内には選りすぐりの書籍が並び、こだわりのドリンクと街の眺望を楽しめます。

白楽駅東口から“徒歩80歩”の好アクセスも魅力。家族連れからコワーキング利用の方、イベントまで多目的な使い方ができる空間にもなっています。

小池さんは様々なメディアで執筆や編集を行う、新進気鋭の編集者でもあります。一体どうして、書店(など)をオープンさせることになったのか。そのバックストーリーからお話いただきました。

酒井:

bookpondさんは「書店など」ということで、本屋だけではない、色々な取組みをされていますよね。

小池さん:

はい。bookpondはもちろん本屋なのですが、お客さんそれぞれが好きな形で読書を楽しんだり、コーヒーやお酒でゆっくりしてもらったりできる場になっています。

また、イベントスペースとして色々な催しもできる場を目指していますね。

酒井:

「bookpond」という店名は、どういった由来からきているんですか?

小池さん:

一つには「小池」の本屋でpond(=池)という単純なシャレもあるんですが(笑)、もう一つはここを色々な人の表現が交わる場にしたいなと思っていて。

にぎやかな池が生態系を育むように、新しい試みが自然と生まれていく空間になっていってほしいと思って命名しました。

酒井:

訪れるお客さんの過ごし方も自由度が高いと聞いています。

小池さん:

もちろん複数人で来ていただくのも大歓迎ですが、お一人でゆっくり本を読んだり、お仕事に集中されている方も多いですね。

アルコールも提供しているので、夜長にお酒片手にゆっくり読書することもできますよ。

酒井:

窓から見える白楽の景色も素敵です。

小池さん:

ありがとうございます! 僕もこの景色が本当に好きで、いつまでも見飽きないんですよね。おすすめは夕日が焼ける時間帯かな。

東横線から向こうの谷まで見渡せる、「裏白楽」ならではの眺めかなと思っています。

まちの居場所を守りたい

2024年12月に惜しまれつつ移転した「ブックカフェはるや」の常連だったという小池さん。

「はるや」の温かく風通しの良い空間に誰よりも魅了されていたために、大切な居場所を自分自身で引き継げないか考えるようになったのだそうです。

酒井:

小池さんは元々は編集者なんですよね。どうしてbookpondを始めようと思ったんでしょうか?

小池さん:

きっかけは、この場所で営業していた「ブックカフェはるや」の移転ですね。

白楽に住んでいる僕にとって、「はるや」は新しい本と出会ったり、他のお客さんと交流したり、時に仕事をする書斎のように使わせてもらっていました。

「はるや」が出版した「いたずら辞典」を手に。同店がかつて常連から聞き取りしたという昭和のいたずらを集めた本なのだそう。

小池さん:

「はるや」を営んでいた草野史さん・小檜山想さんのお二人は、もともとは出版社でお仕事されていた、いわば編集者・ライターとしての大先輩でもあるんです。その温かいお人柄にも惹かれて、週に何度も通わせてもらっていました。

酒井:

小池さんにとって、大事な居場所だったんですね。

小池さん:

そうですね。「はるや」が長崎に移るということになって、白楽でこういう素敵な場がなくなるのは残念だなと思ったんです。

元々、いつか書店を営んでみたいと考えたこともあったので、それならやってみようと思い立ったんです。

酒井:

それからすぐにお店づくりに向けて動いていったんですか?

小池さん:

はい。それでも当初は、「はるや」の物件をそのまま引き継ぐのは難しいのではないか、と考えていました。

でも、松栄に行って酒井さんに相談した時に「ご自身にとって居心地の良い場所だったのであれば、その良さをマネタイズしても良いんじゃないか」って背中を押してくれたんですよね。

酒井:

当初ご相談いただいた時は、もっと安い賃料で借りられる物件を探していましたよね。

小池さん:

そうなんですよ。だから今思うと、本当にこの物件を借りて良かったなと思ってます。

自分の中でちょっと押し込めてたけど、やっぱりここでやりたいって気持ちがあったんだなあと。別の場所で開業していたら、きっと心残りがあったと思いますね(笑)

酒井:

背中を押して良かったです(笑)

オープンまでの奮闘の日々

「はるや」の物件を引き継ぎ、自身のお店として開業することにした小池さん。オープンに至るまでの過程でも、様々な試行錯誤が必要でした。

その当時の様子は、ケのまち連載企画「書店など制作記」でも読むことができます(詳しくはこちら)。

酒井:

bookpondの立ち上げまでに、クラウドファンディングを行ったり、「note」ブログやケのまちでの連載なども行っていました。

小池さん:

はい。クラファンや「制作記」の記事はありがたいことに大きな反響をいただいて。本当にたくさんのサポートをいただきました。

準備中には色々なお声がけをいただいたんですけれども、多くの方が「まちの本屋さん」がなくなることに危機感を持っていたり、寂しいなと感じていることもよく分かって。気が引き締まる思いでしたね。

酒井:

店舗のデザインやコンセプト作り、空間設計まで入念に準備されていましたよね。

小池さん:

はい。お店作りにあたっては、多くの方のご助力もいただきました。

お店のコンセプトから一緒に考えてくれたのは、デザイナーの守屋輝一さん(株式会社きいちのメモ)。

単なるロゴなどの意匠だけでなく、全体的なデザインの方向性まで相談できたのは、本当に心強かったですね。

小池さん:

空間づくりは、弘明寺を拠点に活動されている神永侑子さんと梅村陽一郎さんのお二人(アキナイガーデン・スタジオ)が手がけています。

お二人とも、ローカルな価値観を大切に、街の「小商い」や「多様性」を真摯に考えてきた建築家だったので、ぜひお願いしようと思ったんです。

酒井:

お店のデザインといえば、入り口のアーチドアが印象的ですよね。あのドアの色を指して「ブックポンド・ブルー」と呼んでいるそうですが、本当ですか?

小池さん:

はい。僕が勝手に命名しただけなんですが(笑)、看板やドア、本棚などの什器にはテーマカラーを持たせたくて、そう呼んでいますね。

あの絶妙な青緑が気に入っています!

後編では、こだわりの選書や空間作り、喫茶メニューやイベントなどの多彩な魅力にも迫っていきます。お楽しみに〜

bookpond

住所
横浜市神奈川区白楽103 松尾白楽第二ビル 2階
Instagram
https://www.instagram.com/bookpond_hakuraku/

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この記事を書いた人

石垣 慧

石垣 慧

91年生まれの妙蓮寺在住。「出版社ビーコン」を主宰するほか、編集者として、また文筆家・校正者としても幅広く活動中。

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